好きなものは好きなんです。

好きなものを好きという、簡単で難しいこと

ジャニオタが『りさ子のガチ恋❤︎俳優沼』を読んだ。

書店でたまたま見かけたのがきっかけだった。

 

去年舞台をしていたのを知って、ずっと気になっていた作品。行きたかったが、いろんな都合上断念。見送って、忘れた頃に書店で出会った。

 

『りさ子のガチ恋❤︎俳優沼』(この先ネタバレあり)

 

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4/20に発売されたらしい。

すぐに買い、読んだ。あっという間に読めた。同じ人間を追うオタクだからだろうか、「怖い」と思いながらもページをめくる手が止まらなかった。

 

きっと普段本を読まないオタクにも読みやすいと思う。オタク用語や空気感、週刊誌や感情展開などこの本には私が体験したり、知っているものがある。

 

簡単にこの話を説明すると『2.5次元舞台俳優 翔太にハマったりさ子がガチ恋になってしまう話』。ここだけ聞けば何が怖い?推しへのお金の出費か?状況が似すぎるからか?など、色々あるかもしれないが、一番怖いのは『りさ子の気持ちやしていることに共感してしまうこと』が怖い。

 

 

貢ぎ、全ステ(私の場合多ステ)、エゴサ。カノバレや愚痴垢、週刊誌の存在に敏感になる。

 

分かる。分かるぞ。

 

ジャニオタには「貢ぐ」というものを直接的に渡すことはないが、元々好きだったバンドマンにはよく貢いでいた。その頃も思い出した。少しでも気に入ってもらえるようなものを探したものだ。

 

とっても分かる。

 

ジャニタレはTwitterをやっていないが、「ランダムにリプライ返します」なんてやつもよく私はリプした。返事が返ってくると嬉しくてファボ、RT、スクショまでしていた。

 

とっても分かりすぎる。

 

カノバレした時、「裏切られた」と思ってしまうこと。分かる。え?仕事が今の生きがいです。ファンが大切ですって言ったじゃんと何度も私も思った。

 

りさ子の気持ちが痛いほどわかった。

 

 

他にも色んなものに共感した。

 

怖かった。

 

 

事が展開していって、ガチ恋になってしまったりさ子は接触イベントで何度も会いに行ったし、貢いでいて、認知もされていたと思ったのに翔太に「はじめまして」と言われてしまう。

 

その瞬間、彼女の中に積み上がっていたものが崩れた瞬間であり、崩壊へと道を開く。

 

 

 

 

まぁ、私が考えるにオタクって自己満足なんですよ。

 

コンサートに行くのも、グッズを買うのも、貢ぐのも。全部自己満足なんです。本当は。「行かなきゃ!」何ていう使命感に駆られてチケットを取りますが、私が行かなくてもその席は他の人で埋まるんです。ジャニーズやある程度ファンがいる人は私以外にもファンは沢山いる。ファンと推しはお互いで支えあわなければ存在し合えない!相互関係にある!なんて、ファンが数が多ければ多いほどもしかしたら想像の中だけかも知れません。

 

「○○くんのために❤︎」なんて言いながら、CD買ったり、円盤買ったり、雑誌買ったり、舞台行ったり。確かに自分の為でもありながら、○○くんのためなんです。結果論、売上が出ればメディアに出れるから。それは間違っていない。

 

でも、やっぱりお金って湧いてくるわけじゃないから本当なら別のことに使えるのに食費を削って、交際費を削って、自己投資を削って、推しである貴方に使う。そうなると「あなたにはお金を払う価値があるから使っている」という感覚になるし、使っているからこそ「こっちを見てほしい」とか「ちゃんと仕事に専念してほしい」とか欲とか意見が出てくる。それって出てきても当たり前の感情だと思う。

 

 

作中である俳優が「もちろん古参とか特徴のあるファンは覚えておるけど、数が増えれば増えるほどファンは個人ではなく、ファンという個体数で感謝をするようになる」と言っていた。

 

この言葉は分かっていながらも痛かった。

 

 

私は「篠崎」という個人ではなく、「ファン」なのです。

 

 

分かっている。私はわかっている。

 

 

そう思いながら本を読んでいたが、痛いものは痛かった。

 

個人として認識して貰える日は来るかもしれないし、来ないかもしれない。いや、私は普通のオタクでいたいから来ないことを望んでいるのだが。それとは反してどこかで「認知」望んでしまっているのかもしれない。その感情は認知欲求からくるものなのか、価値があると判断してお金を使っているからという推しへ求める等価交換なのかは分からない。

 

 

まぁ、この本は自己満足に納得出来なくなってきてしまったオタクにとって「危険信号」を出してくれるのかと知らない。とにかく、気になる人は一度読んでほしい。

 

 

読んで、「本当にこんな人いる?」と思う人もいるかもしれない。だが、いるのだ。

 

実際に認知のために良席を買い、実際に認知されている友人もいるし、推しと仕事がしたくてその道に進んだ人もいる。世の中そんなもんだ。

 

 

みなさんはぜひりさ子と同じ道を辿らないように……